認知科学
ポジティブさが脳を守る

ポジティブ(前向き)に、楽観的に物事をとらえることが、脳機能の健全性を保つ上で役立つということがわかってきています。 先頃行われた調査では、「楽観的な思考」の人と結婚するだけでも認知機能の低下リスクを軽減できる可能性が示されています。
既婚の高齢者を対象に認知症リスクを測定するとともにアルツハイマー病の発症を予測するテストを使ったこの調査では、配偶者が楽観的であるとした回答者がそうでない回答者に比べて良いスコアを記録しました。
妻/夫が楽観的であることと認知症にどのような関係があるのでしょうか? 研究者は、楽観的な配偶者と認知症リスク軽減の関係にはいくつかの理由が考えられるとしています。
たとえば、楽観的な人には定期的に運動をしたり野菜やフルーツを食べたりといった健康的な行動をする傾向が見られますが、当然このような行動は認知機能の健全性(および心血管疾患のリスク軽減)に結びつきます。妻や夫がこのように身体にいい習慣を行うようになれば、自分も同じ習慣を行うようになる可能性は高くなるでしょう。
また、配偶者が楽観的でアクティブなライフスタイルを送っていれば、同じ体験を共有することで楽しい思い出ができ、ストレスの軽減と幸福感につながります。この2つは、認知機能の低下を防ぐ大きな要因です。
たとえあなたの妻や夫が楽観的ではないとしても、心配はいりません。楽観的な友人や家族、同僚などとの関係さえあれば、同じ効果を期待できます。
レファレンス:
- Boehm Julia K., Chen Ying, Koga Hayami, Mathur Maya B., Vie Loryana L., & Kubzansky Laura D. (2018). Is Optimism Associated With Healthier Cardiovascular-Related Behavior? _Circulation Research_, _122_(8), 1119–1134. doi: https://doi.org/10.1161/CIRCRE...
- Carver, C. S., Scheier, M. F., & Segerstrom, S. C. (2010). Optimism. _Clinical Psychology Review_, _30_(7), 879–889. doi: https://doi.org/10.1016/j.cpr....
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